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2025.02.07

猫の腸管吻合術|猫の嘔吐や下痢は手術が必要なこともある?

猫の腸管吻合術|猫の嘔吐や下痢は手術が必要なこともある?

「猫の食欲低下や嘔吐がずっと続いている」

「猫が元気なくてお腹痛そうにしている」

このように猫の消化器のトラブルを経験したことのある飼い主様は多いのではないでしょうか。

猫の消化器の疾患では手術が必要になることもあります。

今回の記事では猫の消化管の手術の1つである「腸管吻合術」について解説します。

猫の消化器症状にお悩みの方はぜひ最後までお読みいただき、手術について考える一助にしてみてください。


猫の腸管吻合術とは?

腸管吻合術とは消化管の一部を切除し、つなぎ合わせる手術です。

腸管吻合術では病変のある部分を完全に切除し、健康な消化管同士をつなげていきます。

猫の消化管は細いため、切除した断端を丁寧に縫合していく必要があります。


腸管吻合術が適応になるのは?

腸管吻合術は消化管の一部に病変ができた時や閉塞が疑われる場合に適応されます。

消化管の閉塞が長引くと消化管の血流障害や壊死を起こすこともあるため、早急に手術が必要になることが多いです。

ここでは腸管吻合術が適応になるケースについて具体的にご紹介します。

異物誤食による腸閉塞

猫が誤食した紐やおもちゃなどで腸閉塞を起こした場合は手術が必要です。

異物による腸閉塞が持続すると血行不良により腸が壊死してしまうこともあります。

壊死した消化管は残念ながら治すことはできません。

この場合は、壊死した消化管を切除し、腸管吻合術を行います。 

異物による腸閉塞の場合は術後に食事が取れるようになるまで注意深く管理することで基本的に予後は良好です。


腸重積

腸重積とは消化管の一部が消化管内に入り込んで抜けなくなってしまう状態です。

腸重積を起こしたまま、時間が経過すると血行不良により消化管が壊死することもあります。

腸重積により消化管の壊死が生じた場合は早急に治療する必要があります。

腸重積も異物誤食と同様に経過が良ければ予後が良好であることが多いです。

消化管の腫瘍

消化管の腫瘍も腸管吻合術が適用になる病気です。

消化管に腫瘍が出来ると腸閉塞を起こしたり、消化管自体に穴があく危険性があります。

腫瘍が消化管の一部に限局している場合は腸管吻合術を実施することがあります。

腫瘍に対する腸管吻合術の場合は同時に病理組織検査を行うことで病変に対する確定診断が可能です。



腸管吻合術のリスク

腸閉塞や腸重積を起こすと数時間で消化管の壊死が進行するため、腸管吻合術は緊急で行われることが多いです。

その際に手術を行うことによるリスクについても考慮する必要があります。

消化管の吻合した部分の縫合が不完全であると消化管の内容物が漏出し、周囲に感染や炎症を起こすことがあります。

腹腔内に感染が広がると最悪の場合、命に関わることもあり非常に危険です。

また、術後に消化管の動きが低下したり、消化管の吻合部位が炎症により狭くなってしまうこともあります。

この場合、消化管の内容物の流れが悪くなり、嘔吐や食欲不振が生じることが多いです。

高齢の猫や持病のある猫では特にリスクも検討して手術を選択しましょう。


腸管吻合術の術後管理

腸管吻合術の術後は流動食や消化の良いフードから慣らしていくことが多いです。

状況に応じて鼻や食道などにカテーテルを設置し、食事の補助を行うこともあります。

術後は消化管のダメージで下痢や軟便になることもあるので、合併症に注意しながら管理をすることが必要です。

そのため、消化管へのダメージが回復するまで数日〜1週間の入院が必要になることが多いですね。


まとめ

腸閉塞や腸重積は残念ながら内科治療では限界があり、手術が必要になることが多いです。

猫の消化管の疾患は放置すると重症化して命に関わることもあります。

猫の異変を感じたら早急に治療を行うことが重要です。

当院では腸管吻合術などの外科手術に力を入れております。

猫の消化器トラブルにお悩みの方は当院までご相談ください。


長野県伊那市の動物病院

伊那竜東動物病院

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