犬の子宮蓄膿症について|発情が終わったばかりなのにまた液体が出ている?
犬の子宮蓄膿症について|発情が終わったばかりなのにまた液体が出ている?
「発情出血が終わったばかりなのに、またお尻から何か出ている」
「水をたくさん飲むなぁ」
「おしっこの量が増えたかも?」
このような場合はもしかしたら子宮の病気かもしれません。
今回は避妊手術をしていない場合に誰もがかかる可能性がある、子宮蓄膿症についてお話します。
犬の子宮蓄膿症は手遅れになると命に関わる病気です。ぜひ最後までお読みいただき、早期発見できるよう参考にしてみてください。
子宮蓄膿症とは
子宮蓄膿症とは、子宮が細菌に感染して炎症が起こり膿が溜まる病気です。
そのままにしておくと感染が全身に広がってしまい、命に関わることもあります。
子宮の中に溜まった膿は陰部から出てくることが多いです。
しかし、膿が全て排出されて治るということはなく、治療が必要になります。
猫でも見られますが、犬の方が多い病気ですね。
発症するタイミングは、発情出血が始まって1〜2ヶ月後頃です。
中年齢以降で見られることが多く、発症した時の平均年齢は8〜10歳です。
子宮蓄膿症の症状には
陰部から膿が出る
おしっこの量が多い
水をたくさん飲む
食欲がない
嘔吐、下痢
などがあります。
子宮蓄膿症の検査
子宮蓄膿症の診断は下記のような検査と、発症が発情出血から1〜2ヶ月であることなどから総合的に判断します。
身体検査
炎症に伴う発熱やお腹の張り、腹痛などが見られることがあります。
また呼吸や心臓の鼓動が早くなることもあります。
血液検査
急な炎症により白血球が増えたり、炎症を表すCRPという値が高くなります。
重症な場合は、腎臓や肝臓の数値が上がったり、血液を固める血小板という数値が下がったりすることもあります。
画像検査
超音波検査では子宮の中に膿が溜まっているかなどを確認します。
レントゲン検査では膿が溜まって大きくなった子宮が確認できることもあります。
子宮蓄膿症の治療
子宮蓄膿症の治療には、手術による外科治療と、注射や飲み薬による内科治療があります。
一般的には外科治療が一番多く選択される治療方法です。
内科治療は、外科治療ができない場合のニ次的な治療方法となります。
今回は一般的な外科治療について詳しく説明しますね。
外科治療のメリットとデメリット
外科治療では、卵巣と子宮を取り出す手術を行います。
外科治療のメリットには
膿の溜まった子宮を取り除くことで根本的な治療になる
卵巣と子宮を全て取り除くので再発しない
卵巣を取り除くことで卵巣の疾患も予防することができる
などがあります。
外科治療のデメリットには
麻酔、手術のリスクがある
卵巣と子宮を取り除くことで繁殖できなくなる
内科療法に比べて費用が高額になるケースが多い
などがあります。
手術の流れ
手術は麻酔をかけて行うため、血液検査など手術前検査を実施して麻酔をかけることが可能かどうか判断する場合があります。
麻酔にはリスクを伴いますが、そのリスクを最小限に抑えるために、麻酔中には様々なモニターをつけて常に体の状態を把握することが重要です。
手術では膿の溜まった子宮と卵巣を取り出します。
手術後は傷口を舐めないように気を付けながら安静にしてあげてください。
合併症について
子宮蓄膿症に合わせて発生する合併症の多くは腹膜炎です。
腹膜炎とは、お腹の中で激しい炎症を起こしている状態です。
子宮蓄膿症の子宮はもろいため、普通の子宮と比べて破れやすくなります。
腹膜炎は子宮が破れることで中に溜まった膿がお腹の中に漏れ出て、激しい炎症を起こすことで発症するのです。
合併症が発生した場合、死亡率は高くなります。
子宮蓄膿症の予防方法
子宮蓄膿症は子宮に膿が溜まる病気です。
避妊手術は子宮をすべて取り出すので、避妊手術をすれば子宮蓄膿症になることはありません。また、卵巣も一緒に取り出すので、卵巣の病気も合わせて予防することができます。
まとめ
子宮蓄膿症は避妊手術をしていない犬なら誰でもかかる可能性のある病気です。放っておくと命に関わる怖い病気でもあります。もし避妊手術をしていない場合は、特に発情出血が起きてから1〜2ヶ月後に気をつけて見てあげましょう。
お尻から膿が出ていたり、水をよく飲んでいたりするなどの症状がありご心配な方、また子宮蓄膿症と診断されたけども治療法でお悩みの方は、ぜひご来院ください。
当院では外科に力を入れておりますので、外科療法についてもご相談ください。
また、子宮蓄膿症の予防には避妊手術が効果的です。避妊手術はその他の卵巣、子宮の病気の予防にもなりますので、交配の予定がない場合にはご検討ください。こちらも当院にて手術可能となりますので、お気軽にご相談ください。
長野県伊那市の動物病院
伊那竜東動物病院