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2025.02.21

犬の耳血腫の手術とは? メリットとデメリットを解説

犬の耳血腫の手術とは? メリットとデメリットを解説


愛犬の耳が急に腫れるとびっくりしてしまいますよね。

その症状は、耳血腫かもしれません。

耳血腫は命に関わるものではありませんが、手術でしっかりと治療することで早く綺麗に治すことができます。

今回は犬の耳血腫について、治療を中心に解説します。

犬の耳血腫とは?

耳血腫とは、耳介(耳の外側に見えている部分)の血管が破綻して、耳の皮膚と軟骨の間に液体が溜まり腫れてしまう病気です。

耳が風船のように大きく腫れることもあり、驚く飼い主様も多いでしょう。

ほかにも、耳を気にして頻繁に掻いている、耳が熱っぽいなどの症状で気付くことがあります。


耳血腫は、治療しなかった場合でもだいたい1ヶ月ほどで液体が吸収されます。

耳の腫れは治りますが、放置することで耳の軟骨が変形していき、硬く縮れた耳になってしまいます。

耳の見た目が変わってしまうだけでなく、しわに汚れが溜まりやすくなったり、耳の穴を塞いだりして、一生耳のトラブルが続くことになってしまうかもしれません。

変形した耳は治せないので、その前に治療してあげることが大切です。

犬の耳血腫の原因

耳血腫になる犬では、元々耳に痒みなどの症状がある場合が多いです。

頭を強く振ったり耳を掻いたりといった衝撃で、耳の血管が傷付いて発症してしまうのですね。

原因となる耳の病気には次のものが挙げられます。

  • 外耳炎

  • 細菌・真菌・寄生虫の感染

  • アレルギー(アトピー性皮膚炎や食べ物アレルギーなど)

  • 腫瘤


耳を繰り返し掻いてしまうと治りづらくなり、一度落ち着いても再発してしまうことがあります。

再発しないように、耳血腫の原因となる耳の病気がないかしっかりと調べて治療してあげましょう。

犬の耳血腫の治療

耳血腫では、耳が腫れていることで痛みや違和感がありますので、気付いたらすぐに病院で治療してあげましょう。

できれば耳の変形がないように治療してあげられるとより良いですね。


耳血腫の治療には、内科治療と外科治療(手術)があります。

それぞれ解説していきます。

内科治療

耳介に溜まる液体を注射器で抜く治療です。

炎症を抑えるためのステロイド剤なども併用していきます。

一度液体を抜いてもすぐにまた溜まってしまうことが多く、溜まらなくなるまで繰り返し液体を抜いて、落ち着くのを待ちます。

内科治療のメリット

内科治療のメリットは、すぐに犬の苦痛を取り除いてあげられることです。

耳介に液体が溜まっていると、犬は痛みや違和感があり不快な状態です。

液体を抜く処置をしてあげることで、痛みや違和感を改善することができます。

処置には麻酔は必要なく、診察ですぐに行うことができます。

内科治療のデメリット

内科治療では、液体が溜まらない状態になるまで通院が必要になる点がデメリットです。

一度液体を抜く処置をしても、ほとんどの症例ではすぐにまた液体が溜まってしまいます。

連日〜数日おきに通院して、その都度溜まっている液体を抜き、液体が溜まらなくなるのを待ちます。

治るのには数日〜1ヶ月ほど時間がかかります。

一度状態が落ち着いたのに、耳血腫が再発してしまうこともあります。


さらに、内科治療では残念ながら耳の変形は防ぐことができません。

液体が溜まらなくなるのを待つ間に、耳の軟骨は変形していってしまいます。

内科治療はあくまで犬の苦痛を取り除く対症療法であり、耳の変形を防ぐためには外科治療が必要になります。

外科治療

耳血腫の手術では、まず耳介の皮膚に切れ目を入れたり何ヶ所か穴を開けたりして液体を出します。

次に、耳介の皮膚と軟骨を縫い合わせて、液体が溜まらないようにします。

術後は傷や縫った部分が少し痛々しいですが、長期的にみると手術をした方が綺麗に治ります。

外科治療のメリット

外科治療のメリットは、1回の手術で治療が完了することです。

術後から液体は溜まらなくなり、犬も不快感から解放されます。

通院も手術のための数回で済みますので、何度も通院しなければならないわずらわしさがないのは良いですね。

皮膚と軟骨を縫い合わせるため、再発する可能性も内科治療と比べて低いです。


外科治療では、軟骨が変形する前に治療が完了するので、耳の変形を防ぐことができます。

耳が変形すると元には戻らず、外耳炎などのトラブルが残ってしまう可能性があります。

耳の変形によるトラブルも予防できることは、外科治療の大きなメリットであるといえますね。

外科治療のデメリット

外科治療では、手術をするので麻酔が必要になるというデメリットがあります。

健康な犬ではそれほど心配いりませんが、高齢で体力が落ちている場合や、心臓病や腎臓病がある場合などは注意が必要です。

耳血腫の治療方法の選び方

溜まる液体が少なくすぐに改善が期待できる場合は、内科治療をすることが多いです。

内科治療で治りが悪いときや、なるべく耳を変形させずに治療してあげたい場合には、手術を検討するのが良いでしょう。


耳血腫の原因となった耳の病気が残っていると、また掻いて耳血腫が再発してしまいます。

耳血腫の治療に加えて、元々の耳の病気もしっかりと治療することが大切ですね。


まとめ

耳血腫の治療には、内科治療と外科治療があります。

それぞれメリットとデメリットがありますので、犬の状態や飼い主様の希望に合わせて治療を選びましょう。

耳を変形させずに治してあげたい場合には、早めに手術をする必要があります。

愛犬に耳血腫を疑う症状がありましたら、ぜひ当院にてご相談ください。


長野県伊那市の動物病院

伊那竜東動物病院

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