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2024.12.21

内視鏡を使った犬での異物摘出|もし犬が誤食したらどうする?

内視鏡を使った犬での異物摘出|もし犬が誤食したらどうする?

「ふと目を離したら犬がおもちゃを食べてしまった!」

このようにひやっとした経験はありませんか?

犬は食べ物以外のものを口にしてしまうことが珍しくありません。

異物誤食の対処法の一つとして内視鏡が用いられます。

今回の記事では犬の異物誤食とはどういったものなのか、異物誤食が疑われる時に内視鏡ではどのような治療を行うのかについて解説します。

犬が誤食をしてしまった時に適切に対処ができるようにぜひ最後までお読みください。


犬がよく誤食してしまうもの

犬は好奇心旺盛な動物であるため、目を離した隙になんでも食べてしまう危険性があります。

以下はよく犬が誤って食べてしまうものです。

これらのものは犬の手の届かないところに置くなどの対策をしましょう。


おもちゃ

おもちゃは遊んでいるうちに噛みちぎってしまい誤食してしまうことがあります。

小さなボールやおもちゃの部品は一瞬で飲み込んでしまうこともあるため注意が必要です。


竹串やアイスの棒

竹串やアイスの棒は食べ物の匂いにつられて犬が食べてしまうことがあります。

先の尖ったものは食道に引っかかる可能性も高いため、単純に吐かせることができません。

先の尖ったものを摘出する際には内視鏡や外科手術を行うことも多いです。


紐は犬が飼い主様と一緒に引っ張って遊んでいるうちに飲み込んでしまうことがあります。

紐は腸内で絡まってしまったり、喉に詰まらせたりすることもあり、注意が必要です。


玉ねぎやチョコレートなどの犬にとって有害な食べ物

人間の食べ物は犬にとって魅力的に見え、誤食してしまうことも多いです。

人間にとっては無害であっても犬にとっては有害な食べ物もあります。

もしも有害な食べ物を口にしてしまった場合は体内に吸収されて犬が中毒症状を起こす前に早急に吐かせる必要があります。

植物の中にも有害物質を含むものがあるため、散歩中も気をつけましょう。


異物誤食による症状

犬が異物を誤食することで以下の症状がみられることがあります。

  • よだれ

  • 頻回の嘔吐

  • 荒い呼吸

  • 食欲不振

これらの症状が見られる場合、中毒になってしまっていたり、腸に異物が詰まって閉塞してしまっている可能性があります。


異物誤食の治療

異物の種類や犬の体の大きさによって誤食の治療はさまざまです。

それぞれのケースに応じて、以下の治療法から選択します。

催吐処置

ボタンやおもちゃのパーツなどの小さなものは吐かせる処置を行います。

また、中毒の可能性があり、できるだけ早く体外に排出させたいときも催吐処置が選択されることが多いです。

麻酔をかけずに処置が可能であり、体への負担が少ないため、よく用いられますね。

竹串や釣り針など食道に刺さる可能性のあるものでは危険を伴うため禁忌です。

内視鏡

催吐処置で吐き出せない場合は内視鏡を用いた治療を行うこともあります。

内視鏡は先端にカメラのついたチューブを体内に挿入することで、消化管の中をモニターで確認できる医療機器です。

異物を挟んで保持する鉗子と呼ばれる専用の器具を用いることでモニターを見ながら異物の摘出を行うこともできます。

体にメスを入れずに低侵襲な治療を行えることがメリットですね。


外科手術

催吐処置や内視鏡でも上手くいかない場合は外科的に異物を取り除くこともあります。

また、異物が胃を超えて腸まで流れてしまい、腸を閉塞する場合も外科手術が適用になります。

外科手術は胃や腸にメスを入れるため体への負担が大きいです。


内視鏡で異物を摘出するのはどんな時?

治療に内視鏡を選択するのはどのような場合でしょうか。

以下のような異物の場合は内視鏡での摘出を行うことが多いです。

胃や食道の中にある異物

口から入った食べ物はまず食道を通り胃へ入り消化されます。

その後、腸へと流れていくことで吸収されて糞便として排出されます。

飲み込んだ異物が食道に引っかかっている場合や胃の中に留まっている場合は内視鏡が届くため、内視鏡での異物の摘出が可能です。

腸より先に流れてしまった場合は内視鏡では届かないため、内視鏡の適用にはなりません。


鉗子で掴める異物

内視鏡で異物摘出を行う場合は先端に鉗子のついたカテーテルを使用します。

そのため、異物の形状は鉗子で掴める形状であることが必要です。

催吐のリスクが高い異物

多くの異物は、最も簡単に行える催吐処置を用いて摘出されます。

しかし鋭利なものは催吐を行った際に食道に刺さる危険性があります。

内視鏡を用いると異物の状態を見ながら摘出できるため安全性が高いですね。

内視鏡を用いた異物摘出の方法

内視鏡を用いた処置を行う前にまずはレントゲン検査やエコー検査などで異物の位置を把握します。

開腹手術と比較して負担が少ないため、状態が安定していれば基本的には日帰りでの治療が可能です。


異物の摘出は以下の手順で行います。

①内視鏡で食道や胃の内部を観察する

内視鏡を口から挿入し、食道から胃の出口まで進めていきます。

異物が複数ある場合もあるため見落としのないようにくまなく観察を行うことが重要です。

②モニターを見ながら鉗子を挿入する

このとき通常の鉗子では掴みにくい場合はバスケット鉗子と呼ばれる異物を包み込むように掴むことのできる鉗子を使用することもあります。

モニターを見ながら鉗子の位置を調整し、異物を掴みます。

③モニターを確認しながらゆっくり異物を摘出する

このとき周りの組織を傷つけないように注意が必要です。

適宜モニターを確認しながらゆっくりと摘出します。


まとめ

いかがでしょうか?

犬の届く範囲に置くものには注意を払い、異物誤食を未然に防ぎましょう。

もし犬が誤食してしまったら自己判断で様子を見ずに必ず動物病院に相談するようにしましょう。

当院では内視鏡での異物の摘出を行っております。

もしもの時はお気軽にご相談ください。


長野県伊那市の動物病院

伊那竜東動物病院

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